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【ウィリアム・J・オニールの成長株発掘法】逆張りスタイルの投資家をはじめ、すべての個人投資家に読んでほしいので紹介する

ここでは、成長株投資で有名なウィリアム・J・オニール(以降、オニールとします)の名著「オニールの成長株発掘法【第4版】」をおすすめする記事を書いていきます。この書籍はとにかく勉強になります。おすすめする理由はこれから書いていきますが、兎にも角にも、一度読んでみてほしいと思います。

この記事で書かれている内容を一言でいうと「オニールの書籍はすごく勉強になるので、ぜひ読んでみて下さい」という事になります。ただそれだけです。書籍の内容を細かく解説する記事ではありませんので、その点はご了承ください。

1.個人投資家向きの手法のため、勉強したことをすべて実践できる

オニールの投資手法は個人投資家向きです。これ、とても重要だと思いませんか。

株式投資に関する書籍はたくさんありますが、その多くが著名な「機関投資家」によって書かれているため、その方法論も機関投資家のものになります。なので、書籍で書いてあることを実践に移せないことも多いです。企業の幹部や関係者に話を聞く、DCF法などを用いて企業価値を詳細に計算する…といったことは、その重要性はわかっていても、実際に実行するのは困難です。

ですが、この書籍で書かれている内容はすべて実践できます。内容をすべて理解するにはかなりの勉強が必要になる(私も勉強中です)と思いますが、それでも、やれないことはありません。すべてでなくても、自分にとって重要だと思う内容だけをじっくり勉強するのでもよいと思います。

いずれにしても「ぜひやりたいけれど、一般的な個人の投資家には難しいよな…」というようなことは書かれていません

ちなみに、割引キャッシュフロー法(DCF法)を用いて企業価値を評価して…といった難しい計算を必要とする内容も一切出てきません。基本的には、株価チャートや有価証券報告書などの入手可能な情報源から分析が可能です。

オニールは、過去の米国の株式市場における主導銘柄(大化け銘柄)のすべてを徹底的に研究し、その結果構築された方法論を「CAN-SLIM(キャン-スリム)」という名のシステムにまとめています。

「CAN-SLIM」とは、1つ1つのアルファベットがすべて頭文字になっており、例えば、最初の「C」「Current Quarterly Earnings(当期四半期のEPSと売上)」のことであり、最後の「M」「Market Direction(株式市場の方向)」を意味します。

つまり、「C、A、N、S、L、I、M」の大きく7項目について確認することで銘柄の選定と適切な買い時を見極め、その上で株式を購入しましょう、というシステムになります(いつ売るべきか、という事についても、本書の中で詳しく言及されています)。確認項目はたったの7つです。

もちろん、たった7つとはいっても、そのうちのいくつかは書籍を読んだだけで即実行できるほど簡単ではありません。例えば「M(Market Direction)」の章では、株式市場の方向性を把握できるようになることが必要であると書かれています。

今が強気相場(上昇トレンド)なのか弱気相場(下降トレンド)なのかだけでなく、強気相場なのであれば、それが初期段階にあるのか、それとも終盤に差し掛かっているのか…。市場の天井と底はいつなのか、など、プロでも難しいようなことを「できるようにならなければならない」とオニールは言います。

ですが、その具体的な方法についても当然ながら書かれていますので、それに従って自分自身で株式市場を研究することは十分に可能です。研究したからといって株式市場の方向性を100%確実に把握できるようになるとは到底思えませんが、それでも、やってみる価値はあります。

決して楽ではありませんが、本書を片手に、ぜひ一緒に勉強してみませんか。

2.逆張りスタイルを徹底的に否定しているが、歴史的事実に基づいた主張であるため、その説得力が半端じゃない

オニールの投資スタイルは「順張りの成長株投資」であり、逆張りスタイルとはまさに真逆です。そしてこの書籍では、逆張りスタイルを徹底的に否定しています。その一部を以下に紹介します。

  • 株は価格が上昇中に買うべきで、下落中に買うべきではない。増し玉をするなら、最初に買った価格よりもさらに上がったときにのみ買うべきであって、最初に買った価格よりも下がったときに買うナンピンをしてはならない(p.10)
  • 株を買うならその年の高値近辺で買うべきであり、価格が下がって安く思えるときに買ってはならない。つまり、比較的高くなった株を買うべきで、最安値を付けた株を買うのではない(P.10)
  • 大勢の二流投資家が、株価が高すぎると感じているときに買い、その株価が大幅に上昇してやっと二流投資家がその魅力に気づき始めたときに売る、それが賢い投資家のすることだ。一九九〇年一一月、シスコ株は史上最高値で取引されていた。最高値を更新したばかりでもう値上がりしないのではないかと思えるそのときにこの銘柄を買っていたならば、その時点から二〇〇〇年の天井に向かって約七万五〇〇〇%もの躍進をするのを、あなたは大いに楽しんでみていたことだろう(p.230)
  • 株価が下落して割安だからという理由で株を買うような投資家は、その投資法がいかに大きな損失をもたらすかを身をもって学ぶことになるだろう(p.262)

出典:オニールの成長株発掘法【第4版】

どうでしょうか。ウォーレン・バフェットに憧れて、彼の投資法に関する書籍を読みまくって逆張り投資を実践している身としては、なかなかつらいものがあります。

モヤモヤした気持ちを抱えながら読み進めると、オニールの主張を裏付ける事例が山ほど出てきます。以下は、そのほんの一部です。

  • 一九九〇年代半ば、ウォール街で人気株だったルーセント・テクノロジーがAT&Tから独立すると、株価は七八ドルから五〇ドルへと急落し、機関投資家たちが一気に飛びついた。だがその年の終わりには、株価はさらに暴落して五ドルになってしまった(p.260)
  • 二〇〇〇年、年初来高値の八二ドルを付けたシスコ・システムズの株価が五〇ドルに下がると、大勢の投資家がこれを買った。…(途中省略)だが株価はその後八ドルまで下落し、そこから五〇ドルに再び戻ることはなかった(p.260)
  • 銀行業界を先導する一流優良株、バンク・オブ・アメリカを買うのはどうだろう?二〇〇六年一二月、この銘柄は五五ドルだったが、その一年後に四〇ドルと安くなったところで、あなたはこの銘柄を買ったとしよう。ところが、さらに一年後には、株価は急落して六ドルまで下がってしまった。自分は長期投資家だからと持ち続けているあなたは、〇.〇四ドルというなけなしの配当金を手にしているのである(p.261)

出典:オニールの成長株発掘法【第4版】

ここで挙げた例以外にも、「二度と買値まで戻らなかった株価の例」がたくさん出てきます。これだけ具体例を示されると、オニールの主張を否定したい気持ちは影を潜め、「自分とは真逆の手法で不安はあるが、できる限り勉強しよう」という前向きな気持ちが芽生えてきます。

ここまで具体的な数値を伴った例を多く示している書籍を、私は他に知りません。事例は山ほど出てくるのに、DCF法をはじめとしたファイナンス理論的な話は一切出てきません。それは、オニールの手法が歴史を紐解いた結果生まれた手法だからです。

難解な理論や専門家の意見ではなく、株式市場の歴史を徹底的に分析した結果導きだされた結論を、1つの方法論として体系化したものがオニールの投資手法です。誰かの個人的な意見が合っていることなどほとんどない、正しいのは常に市場であると、彼はそう説いています。

歴史は繰り返すということを念頭に置けば、オニールの主張ほど信用できるものは他になかなか見つからないのではないでしょうか。

3.ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析、両方の重要性を指摘している

株式投資に関する書籍は山ほどありますが、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の両方が重要であると言い切り、なおかつその両方について詳細に書かれている書籍は、あまり多くないのではないでしょうか。本書では特に、テクニカル分析の重要性を指摘していると個人的には感じます。

実際、上で紹介した「CAN-SLIM」の方法論も、チャート読解技術を身につけていることが大前提となっています。それができないと、良い銘柄を発掘できたとしてもベストなタイミングで購入できないからです。

ただし、テクニカルといっても、本書で重要だと書かれているのは、主に①株価が劇的に上昇する直前に、どのようなチャートパターンを形成していたのかを理解できるようになることと、②主要な平均株価(日本でいえば日経平均やTOPIX)と出来高の推移を分析し、そこから市場の動向をつかむことの2つです。

ボリンジャーバンドやMACDなど、いわゆる「テクニカル指標」については触れられていません。むしろ、それらについては「信頼しすぎるな」と忠告しています。

補助的な指標には頼らないほうがよい。タイミングを正確に測れるという実証はどこにもないからだ。三〇~五〇種類にも及ぶさまざまなテクニカル指標や経済指標が存在するが、これらを凝視して市場がどうなるかの意見を述べるようなニュースレター発行者やテクニカルアナリストや投資戦略家に聞いても、時間の無駄になるだけである(p.290)

出典:オニールの成長株発掘法【第4版】

テクニカル分析は確かに重要ですが、「すべての指標が有効であるというわけではない。数多くの指標を使い分けられるようになるよりも、主要な平均株価と出来高の推移を注意深く観察することの方が重要だ」ということを、オニールは主張しています。

ここで大切なのは、これらの主張はすべてオニールの個人的な意見や経験ではなく、歴史的事実に基づいているという事です。上でも述べましたが、彼の主張に際立った説得力があるのは、まさにこの点です。

完全にファンダメンタルズ派だった自分がテクニカル分析の重要性を認識できたのは、本書のおかげです。

4.読むべきは「自分の投資スタイルと正反対」かつ「説得力が半端じゃない」書籍

逆張りスタイルの方もそうでない方も、どこかのタイミングで「自分の投資スタイルとは正反対の専門書」をじっくりと読んでみると良いと思います。逆張りスタイルなら順張りについて書かれた書籍を、バリュー投資家であれば成長株投資について書かれた書籍を読んでみる。

そうすると、自分に足りない何かを見つけることができるかもしれません。いま、何かが足りないと感じている、あるいは、もう1ステップレベルアップしたいけれど、どうすればよいか分からない…という場合は、この方法がおすすめです。

今まで自分が信じて学んで取り組んできた方法論を、徹底的に否定されるくらいが丁度いいと思います。自分の投資スタイルを完全に否定していて、かつ極めて説得力があって納得せざるを得ないような書籍、そんな書籍がよいと思います。そのような良書を見つけるのがなかなか難しいという場合は、この記事で紹介しているオニールの書籍を一度読んでみて下さい。新しい何かを発見できると思います。

ちなみに余談ですが、書籍を選ぶ際の基準は、「自分にとってどうか」という事だけを意識すればよいと思います。アマゾンの評価などを気にする必要はあまりありません。同じ書籍を読んでも、それをどう感じるかは人それぞれだからです。この記事でゴリ押ししているオニールの書籍も、人によっては全く役に立たないかもしれませんし、全く共感できないかもしれません。

重要なのは、①自分にとって必要な情報が書かれているか②著者は信頼できる人か、この2つです。

どの書籍を購入すればよいか迷っている場合は、実際に書店に行ってパラパラと読んでみることをおすすめします。それが難しくてネットから購入したい場合は、ネットで「おすすめの書籍ランキング」的な記事をいくつかチェックして、それらのサイトやブログで共通して紹介されている書籍などは、ハズレが少ないかもしれません。

いずれにしても、他人の評価はあまり気にせず、自分の感覚を信じて書籍を選べばよいと思います。

ただし、翻訳本を読む際は、他人の評価が役に立ちます。書籍を購入する前に「翻訳の質」をアマゾンの評価などから必ず確認した方がよいです。どれだけ優れた書籍であっても、翻訳の質が悪ければ読めません。株式投資の専門書は、その多くが米国から入ってくるため、ほとんどすべての書籍において翻訳の質が重要になります。

概ね問題なく読めるのですが、たまにひどいものがありますので、この点だけは注意しておくことをおすすめします。

おわりに

ここまで1冊の書籍についてゴリゴリ書いたのは初めてです。ちょっとしつこかったかもしれませんが、それだけおすすめしたいのだという事でご理解ください。

他にも書きたいことは山ほどありますが、きりがないためこの辺でやめることにします。兎にも角にも、一度手に取って読んでみて頂ければと思います。価格は¥3,800(税抜き、2018.08.03時点)、ページ数は630というかなり太めの書籍ですが、それだけ内容が濃いので価格もページ数も納得です。

もちろん、翻訳の質も問題ないので、安心してくださいね。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。この記事が役に立ちましたら、シェアして頂けたら嬉しいです。よろしくお願いします。

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