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経営者に関する3つの質問

はじめに

ここでは、経営者の能力・人柄を確認するための方法を、3つの質問という形でまとめています。経営者の能力や人柄は極めて重要です。

インターネットで得られる情報から判断するのは困難ではありますが、有価証券報告書の他にも、企業のホームページに手掛かりとなる情報はあります。

例えば、社長メッセージや中期経営計画を見るだけでも、様々なことが分かります。あるいは、IR説明会の様子を動画で見られる企業もあります。経営者が実際に話している映像を確認できることが望ましいですが、それが難しい場合は、入手可能なものの中から可能な限り情報を読み取ることを心がけましょう。

他にも、調査している企業の経営者に関する記事や雑誌を検索してみる、あるいは株主総会に出席するといった選択肢もあります。可能な範囲で確認するようにしましょう。

質問① その企業の経営者は、誠実か?

企業の経営者は、有能かつ合理的であると同時に、誠実である必要があります。ここでいう誠実とは、具体的には「何か失敗をしたときに、それをきちんと認め、株主に対して説明・謝罪ができること」を指します。要するに、調子が良い時も悪い時も、客観的な事実をきちんと公表できる人が企業のトップである必要があります。

企業分析をする際は数値化できる情報のみからさまざまな判断を下してしまいがちですが、経営者が不誠実だと長期的な成長は望めません。そのため、有価証券報告書やIR説明会の様子などを確認する際は、その企業の収益性や成長性を確認するのと合わせて、「この経営者は誠実か?本音で話しているのか?嘘をついていないか?」と言った視点からも確認する習慣を付けておきましょう。「この経営者は何となく信用できないな」と言った直感的なものが、意外と当たっていたりもします。

経営者が不誠実であった場合に起こり得る最悪のケースは、不正に手を染めてしまうことです。これは最悪です。既に投資をしている方はご存知のことと思いますが、企業が不正をしていたことが分かると、株価は瞬時に暴落します。誰も損をしたくありませんから、当然と言えば当然です。

不正が分かった段階ですぐに売ることができればまだいいのですが、その時点で既に含み損を抱えてしまっている場合などは、売るに売れない状況に陥ることもあります。不正があった場合、その問題が収束しない限り株価は戻らず、最悪の場合は倒産します。このような無責任なことに巻き込まれて自分の資産を減らしてしまうことは避けたいところです。

とは言っても、経営者が不正に手を染めないかを確認することは不可能であるため、くどいようですが、やはり日ごろから経営者の人柄を気に掛けておくことです。

「能力と誠実さ」この2つが感じられる経営者が率いる企業は、長期的に成長する可能性が高いと言えます。

質問② その企業の経営者は、達成可能な目標を、具体的な数値と合わせて掲げているか?

夢を語ることは素晴らしいことですが、企業の経営者が語る夢は、実現可能である必要があります。そして、それを具体的な数値に落とし込み、その数値目標を達成するための適切な道筋を描く必要があります。

例えば、中期経営計画などの将来計画の中で、これまでの実績と将来展望を客観的に把握した上で、具体的な目標として売上高や利益率、ROEなどの数値を掲げているかを確認します。確認の際のポイントは①過去に目標を達成してきた実績があるか②足元の業績から判断してあまりにも高い目標を掲げていないか、と言った視点から見ることです。

時に経営者は、企業をよく見せようとして到底達成できない目標を掲げることがあります。しかし、経営目標を達成するということは、仮に達成可能と思われるものであっても、実際にはかなり難しいと言えます。

経済がどうなるのか、あるいは、消費者の嗜好がどのように変化するのかなど、将来のことは何も分かりません。そのような状況では現状を維持していくだけでも大変なのに、さらに成長しますと宣言しているわけですから、投資家としては過去にきちんと目標を達成してきたという事実がなければ、なかなか信じることはできません。

そういう意味で、過去の実績や足元の利益水準などから「目標は達成可能であるか」という事をきちんと確認・判断するようにしましょう。

質問③ その企業の経営者は、過去に十分な実績があるか?

質問②の内容と重複しますが、どれだけ誠実で、達成可能と思われる目標を掲げていても、過去に実績がないのでは不安です。ですが、過去の目標(例えば、直近の中期経営計画など)をきちんと達成したという実績があれば、次の目標も達成可能と信じることができます。

投資を検討している企業の経営者が就任して日が浅い場合は、当然ながら、経営者としての過去の実績はありません。そのような場合は、その経営者の可能性に賭けるのか、それとも、その企業は諦めて違う企業の分析に進むのかは判断の分かれるところでしょう。

おわりに

企業を調べる上で、経営者について調べることが意外と見落とされがちですが、経営者が有能かつ誠実であるという事は、極めて重要です。

実際、私がチェックしていた企業で、業績は安定して成長しており、株価も順調に推移していた企業の株価が、ある日突然暴落しました。数日間で25%以上の暴落です。理由は、その企業の経営者の不祥事が見つかり、大株主が臨時の株主総会を招集して取締役の解任を要求する旨の情報を開示したためです。どのような不祥事かはその時点では分かりませんでしたが、とにかくびっくりしたことをよく覚えています。

これは、経営者が有能ではあっても誠実ではなかったという残念な例です。経営者や経営幹部の不祥事によって株価が暴落することはよくありますが、本来はあってはならないことです。投資資金の小さい個人投資家としては、このようなことをされると死活問題です。

経営者の人柄を十分に知ることは難しいですが、上記のような問題に直面しないためにも、この記事で述べた内容を参考に、可能な限り調べることをお勧めします。

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