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含み損を抱えてしまった時に絶対にしてはいけないたった1つのことと、それを避けるためにできること

含み損を抱えてしまった時に絶対にしてはいけないこと、それは

「せめてトントンになるまで待つ」

という選択です。

この「せめてトントンに…」という表現には、なんだか「利益を出すことは難しいかもしれないけど、トントンまで株価が戻るくらいなら何とかなるだろう。だって、下がった分だけもう一度上がればいいんだから」といったニュアンスが含まれている気がしてなりません。

ですが、これは間違いです。下落の度合いにもよりますが、一度株価が下落すると、そこから下落前の水準まで戻るのは極めて難しいことです。

この記事では、「含み損を抱えた時に株価が戻るまで待つ」という間違った判断を例に挙げ、それを回避するための方法について考えてみます。

1.株価が50%下落すると、トントンまで戻るためには100%の上昇が必要

株式投資をする上では、多くの場合「割合(%)」で考えます。例えば「平均取得単価から株価が10%上昇したら利益を確定しよう」とか「平均取得単価から8%下落したら問答無用で損切りしなければいけない」というような考え方です。

もちろん、金額基準で考えることもあります(10万円の含み益が出たら株を売却しよう、など)が、この記事のテーマである「含み損を抱えた時にしてはいけないこと」を考える際は、金額基準ではなく割合で考える必要があります。

極端な例ですが、株価が50%下落したら、下落前の水準まで株価が戻るためには100%上昇する必要があります。同じように、株価が33%下落したら50%、20%下落したら25%の上昇がそれぞれ必要です。これを金額基準で考えてしまうと、いま述べた事実が見えづらくなります。

例えば、1株あたり1,000円で取得した株が500円まで下落したとします。1株あたり500円の下落です。このような場合、あまりの含み損に動揺してしまい、冷静な判断を下すことができなくなります。そして、損失を確定したくない気持ちと、もう少し待てばまた上昇するかもしれないという淡い願望を抑えることができません。その結果、私たちの脳は、以下のようなことを考え出します。

これはマズイ。。けど、ほんの数週間で500円下落したという事は、逆に言えば、待っていればここからまた500円上昇する可能性だってある。下落した金額と同じなんだから、決してありえないことではない。せめて、せめてトントンになるまで待とう。ここは辛抱が必要だ。

これは、頭の中を願望に支配された状態であり、自分にとって都合の良い未来を脳が作り出してしまった状態と言えます。同じ事実でも、解釈の仕方によっては大きな損失につながることもあります。

表 考え方の違いによって異なる解釈が生じることの一例

株式投資で大きな損失を出す時は、決まって損切りができなかった時です。そしてこのことは、単純に心理的な問題に起因します。頭では分かっていても行動に移せない。初心者も熟練者も関係ありません。

このような、頭では分かっていても正しい行動がとれないという状態は、株式投資をしていれば嫌というほど経験します。そして、その経験のうちのいずれかが直接的な原因となって、致命的な損失を被ることになります。

こうした最悪の事態を避けるためには、頭では分かっているけれども正しい行動ができない多くの事柄について、もっともっともっと、自分の頭に分からせる訓練が必要です。そして、そのための1つの有効な方法が「なるべく数字で考えること」だと思っています。

2.数字で考えることで具体的なイメージが湧きやすくなり、間違った判断を下しそうになった時のブレーキになる

頭では分かっていても正しい行動が取れない、という事はよくありますが、そもそも、なぜ行動に移せないのでしょうか。頭で分かっているなら、行動できるはずでは…。

株式投資では、たった一度の間違った判断が命取りになることもあるため、この問題について真剣に考えることは重要だと思い、ずーっと考えていました。そして、考えたり書籍を読んだりしているうちに分かったことが、2つあります。

1つ目は、「そもそも、人間とはそういう生き物なのだ」という絶望的な事実です。人間は、何かを判断する際にさまざまな心理的バイアスがかかり、無意識のうちに自分にとって都合の良い方向に考えてしまいます。

そしてその結果、合理的な判断を下すことができず、間違いを犯してしまいます。このことは、行動経済学という学問で研究されているのですが、これについては後で少し触れます。

2つ目は、これは個人的な意見ですが、頭では分かっていても行動できないことの多くが、実は「何となく分かっている・何となく知っている状態」であることが多い、という事です。

常識的に考えて当たり前、みんなが言っている、ネットに書いてあった、書籍に書いてあった…などなど。

どこかで読んだり聞いたりして分かったつもりになっていても、実際にそれがどれくらい難しいことなのか、それが自分に及ぼす影響はどの程度のものなのか、、そうした具体的なイメージが伴っていなかったのです。

恥ずかしながら、私は「株価がトントンになるまで待つ」という経験を何度かしたことがあります(1年待っても株価は戻らず、結局損切りしました)。数字を使って考えるという作業を怠ったがために、「株価がトントンまで戻る」ことがどれだけ困難であるかを具体的にイメージできていませんでした。

その結果、自分にとって都合の良い希望的観測が頭を支配し、間違った判断を下し、最終的に損失を被ったというわけです。もしあの時、「株価が50%下がったから、下落前の水準まで戻るためには100%の上昇が必要だ。これは現実的に考えてかなり厳しいな」というように具体的な数字を使って考えていれば、間違った判断を下しそうになった時のブレーキとして機能したかもしれません。

株価が100%上昇するという事は、単純に株価が2倍になるという事です。そこそこの期間で株価が2倍になるような銘柄は、どれだけ頑張って探してもなかなか見つかるものではありません。

そうした銘柄を見つけるために世界中の多くの投資家が時間と労力を費やしているのですから、たまたま自分が持っている銘柄で、しかも直近で株価が大幅に下落したような株が、そこから100%の上昇を記録する…なんてことは、よくよく考えれば極めて都合の良い考えですよね。いまとなっては理解できます。

参考までに、株価が下がった場合の下落率と、そこから下落前の水準まで株価が戻るために必要な上昇率の一覧をいくつか示します。

表 株価の下落率と、下落前の水準まで戻るために必要な上昇率

自分の置かれている状況を数字に変換し、それをもとに何かを判断するという事はとても大切だと思います。心理的なバイアスがかかって願望に頭を支配されそうになった時は、数字という客観的な事実の力を借りて、無理やりにでも現実と向き合うことが必要です。

3.間違いを避けるために個人投資家ができること

「含み損を抱えた時に、せめてトントンになるまで待つ」といった間違いを避ける訓練をすることは、複雑な計算方法を学んだり難しい理論を理解したりすることよりもはるかに重要です。

世界でも有数の大投資家であるチャーリー・マンガーについて書かれた書籍の中に、以下のような記述があります。

彼(マンガー)は、投資家として成功するための秘訣を「訓練による学習」と呼んでいる。これは、劣った判断につながる行動をやめることができれば、ほかの投資家よりも優位に立てるということを意味している。

出典:完全なる投資家の頭の中 -マンガーとバフェットの議事録

劣った判断(間違った判断)を減らすだけでよいというのは、なんともありがたいことです。難しい計算をしなさい、と言われるよりもはるかに楽だからです。

では、間違った判断をしないために個人投資家である私たちにできることは何でしょうか。

1つは、上で述べたように「いつでもどこでも、なるべく数字で考えること」だと思います。それとは別に、私が個人的に行っている2つのことを、ここでは紹介させていただきます。

①行動経済学を学ぶ

先ほども軽く触れましたが、行動経済学を学ぶことは、株式投資をする上で極めて重要だと考えています。人は多くのミスを犯しますが、「そもそも人間とはそういう生き物なのだ」という事を、学問的な観点から客観的な事実として認識することはとても大切だと思います。

どんな状態の時に、どのような心理的バイアスがかかるのか、という事を学べば、間違いを犯しそうになった時に冷静さを保てるようになります。そして何より「自分だけが間違うわけじゃないんだ。みんな同じなんだ…」と、安心できます。

ちなみに、行動経済学については以下の記事で書いていますので、参考にしてみて下さい。この記事の中で、おすすめの書籍もいくつか紹介しています。

②いくつかの厳選した良書を繰り返し読んで、自分自身をコントロールする

何を学ぶにしても読書は必須なので、ここで改めて書くことでもないのかもしれませんが、あえて書かせて下さい。

ここでの読書とは、何か新しいことを学ぶための手段というものではなくて、頭では分かっているけれども正しい行動ができない多くの事柄について、もっともっともっと、自分の頭に分からせる訓練を行うための手段として位置付けています。

「何が間違っていて何が正しいのか。そして、間違った判断を下さないために何をすべきで何をしないべきなのか」という事を自分の頭に叩き込み、自分の感情を無理やりコントロールするための方法の1つが、厳選した良書を繰り返し読むという作業になります。

これは有効です。何度も何度も同じことを聞かされるのは苦しいものですが、だからこそ、自分の頭に刷り込まれます。「もう分かったから…もうしないから…許して」という状態に、書籍を使って自分で自分を追い込みます。

この訓練をするために私が使っている書籍は、以下の2冊です。

ここで書籍の内容を紹介すると長くなるため割愛しますが、どちらも「何が間違っていて何が正しいのか。そして、間違った判断を下さないために何をすべきで何をしないべきなのか」ということを考える上でとても勉強になります。少し高いですが、かなりおすすめです。

おわりに

まとめます。

含み損を抱えてしまった時は、それが自分の定めたルールを超えているのであれば、直ちに損切りしましょう。決して「せめてトントンになるまで待つ」という間違った判断をしないことが大切です。

間違った判断をしてしまうのは人間の性なので、それを無理やり矯正するために①数字で考える②行動経済学を学ぶ③厳選した良書を繰り返し読んで自分を洗脳する、の3つが有効です。

難しいことをする必要はないと思います。この記事で書いたような「当たり前だけどなかなかできないこと」を「なるべくできるようになること」が、株式投資で利益を出すための一番の近道だと思います。

ともに頑張りましょう。

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